動物愛護法2012年改正関連パブコメ最終回(1)

2012年9月5日に公布された「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第79号)によって、「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正内容が決まり(以下「2012年改正」)、2012年12月12日公布の「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成24年政令第296号)によってその期日が2013年9月1日と定まりました。

この改正をめぐって、これまでに都合5回のパブリックコメントが実施されてきました。

  1. 動物取扱業の適正化について(案)に対する意見の募集……2011年7月28日~8月27日=深夜販売・移動販売・ネット販売・オークション・日齢制限・繁殖制限ほか | [内容] | [結果]
  2. 「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要」に対する意見の募集……2011年11月8日~12月7日=オークション・犬猫の夜間展示禁止ほか | [内容] | [結果1] | [結果2]
  3. 「動物愛護管理のあり方について(案)(「動物取扱業の適正化」を除く)」に対する意見の募集……2011年11月8日~12月7日=虐待、多頭飼育、自治体収容施設、特定動物、実験動物、産業動物、罰則強化、マイクロチップ、不妊化、繁殖制限、学校・公園飼育動物、災害対応ほか | [内容] | [結果]
  4. 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令案等に関する意見の募集(パブリックコメント)……2012年4月23日~5月7日=ねこカフェに関する経過措置 | [内容] | [結果]
  5. 動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正等に伴う動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正案に関する意見の募集……2012年11月13日~12月12日=犬猫等販売業者、販売時の情報提供、第二種動物取扱業、虐待、引取り拒否 | [内容] | [結果]

4回目のねこカフェパブコメについてはこちら5回目の施行規則パブコメについてはこちらなんかで、さるねこ父も記事にしてきました。

 

さて、この間に政権交代なんかもあったりしましたが、今回6・7回目のパブリックコメントの募集となります。これで最終回(のはず)です。

  1. 動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針及び動物の飼養及び保管に関する基準等の改正案に対する 意見の募集……2013年6月13日~7月12日=基本指針、家庭動物基準、展示動物基準、実験動物基準、産業動物基準、所有者明示措置、引取りおよび収容 | [内容]
  2. 動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案概要に対する意見の募集……2013年6月13日~7月12日=特定動物 | [内容]

 

こうしてみると、3回目のパブコメが、今回2012年改正の骨格を定めたものと言っていいように思います。動物取扱業――なかでもいわゆる販売業者 vs 動物愛護活動家のつばぜり合いとなった1・2回目のパブコメの方が派手だった印象はありますが、さるねこ父個人としてはそれらは「枝葉」であって、広い意味での適正飼養をめぐる3回目のパブコメこそが「幹」だったと考えます。

現在募集されている6、7回目のパブコメも、地味ではありますが、広い意味での適正飼養、つまり「人間は動物とどのように向き合うべきか」についての向こう5~10年の指針・基準を定めるためのものです。

指針や基準それ自体がただちに市民生活に拘束力を伴う規制を加えるわけではありません。たとえば多頭飼育に関して、新しい「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」案では、第3の3で、

 所有者等は、その飼養及び保管する家庭動物等の数を、適切な飼養環境の確保、終生飼養の確保及び周辺の生活環境の保全に支障を生じさせないよう適切な管理が可能となる範囲内とするよう努めること。適切な管理をおこなうことができない場合、虐待となるおそれがあることを十分認識すること。〔下線部は改正案において付加された部分〕

と規定しています。「不適切な多頭飼いは、虐待になるかもしれんから、わかってんだろうな」という圧力であるわけですが、では実際に不適切な多頭飼いをしている人間の家のドアをコンコンとノックする公権力が現れるのかというと、そういうわけではない。あるいは、先鋭的な動物愛護活動家が自警団を組織して、コンコンと家々をノックして回ってもいいですよ、と奨めるわけでもない(まあ、あたりまえですが)。極端に言えば、こうやって書いてあってもなくても、世の中の99.9...%の「不適切な多頭飼い」の状況には、実質なんの変化もないでしょう。

じゃあ、この改正にはなんの意味もないのか、というとそうではなくて、こうした指針や基準は「これからの社会通念・一般常識はこうである(&こうでなければならない)」と示すために重要なのだと思います。そして、それらを改正するということは、「過去に比べて、現在・将来はこう変わっていく・変わっていかなくてはならない」と公に宣言することにつながります。

もうひとつ、こうした指針や基準は「公的なお墨付き」としても機能します。「犬猫の飼い方なんて、人それぞれ、自由だろ」という物言いに対して、「いや、なんでもかんでも自由というわけではない、あなたのその飼い方は『間違っている』」と主張するだけの論拠を、指針や基準は与えてくれます……そこから先、実効性のある強制力を働かせられるかというと、必ずしもそうとは限りませんがorz。

 

というわけで「それなりに大事」な今回のパブコメ募集に関して、これから何回かに分けて記事にしていこうと思います。

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