パブコメ:V 虐待を受けるおそれのある事態について

改正法第25条第3項関連です。この項は新設です。

もともと第25条は改正前も改正後も、その1条のみで1つの節を成しています。改正前は「第三節 周辺の生活環境の保全に係る措置」、改正後は第二種動物取扱業者に関する規定がその前に入ったためひとつ節が後ろにずれて「第四節 周辺の生活環境の保全に係る措置」というなかの、それぞれ唯一の条文です。「等」という1文字が入ったことに、いちおう留意しておきます。

【改正前】
    第三節 周辺の生活環境の保全に係る措置

第二十五条 都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

3 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市の長を除く。)に対し、前二項の規定による勧告又は命令に関し、必要な協力を求めることができる。

改正前、素人ブリーダー崩壊やアニマルホーダーなどの要因で、「周辺の生活環境」に影響が出ている場合、都道府県知事等が「勧告」、さらにはそれより強い「命令」を出せるというのがこの条文の主旨でした。これが改正後は、第2項と第3項の間に新しく「虐待」に関する項目が入りました。これが新設の改正法第25条第3項です。赤字で示したのは、改正前と比べて変更された点です。

【改正後】
    第四節 周辺の生活環境の保全等に係る措置

第二十五条 都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管に起因した騒音又は悪臭の発生、動物の毛の飛散、多数の昆虫の発生等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

3 都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管が適正でないことに起因して動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、当該事態を改善するために必要な措置をとるべきことを命じ、又は勧告することができる。

4 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市の長を除く。)に対し、前三項の規定による勧告又は命令に関し、必要な協力を求めることができる。

つまり、この「V 虐待を受けるおそれのある事態について」というパブコメの項目は、この第25条=素人ブリーダー崩壊やアニマルホーダーなどの要因で周辺環境に影響を与えるケースに附随するような、限定された「虐待」の定義についてのものです。決して「虐待一般」の話ではありません。

(素案)

次の5つを、虐待の恐れのあるいわば「シグナル」として掲げています。

  1. 鳴き声がやまない、異常な鳴き声が続くなどの状態が継続し、不適正な飼養状況が想定される事態
  2. 悪臭が継続する又はねずみ、はえその他の衛生動物が大量発生するなど不衛生な飼養環境が想定される事態
  3. 給餌・給水が一定頻度で行われておらず、栄養不良等の個体が見られる事態
  4. 爪が異常に伸びている、体表が著しく汚染されているなど適正な飼養が行われていない状態が長期間続いている個体が見られる事態
  5. 繁殖制限措置が講じられず、かつ、譲渡等の飼養頭数の削減努力が行われないまま、繁殖により飼養頭数が増加している事態

基本的にはネグレクト系の虐待によって引き起こされるであろうシグナルが挙げられています。バイオレンス系のシグナルが挙げられていないのは、この第25条が想定しているのが、そもそも素人ブリーダー崩壊やアニマルホーダーの問題だから、ということになるでしょう。


これらの項目に過不足があるか、というのももちろんコメントの対象となりますが、別の角度からのコメントのしかたもあり得ます。

第34回議事録の事務局発言を読むと、環境省=行政側がこの問題をどう捉えているかが、かなりよくわかります。一口に言ってしまえば、「いちおう具体的な項目は挙げてみたけれども、実際の現場でこれによってどこまで勧告・命令につながるような実効性を発揮しうるかといえば、それはかなり心もとない」です。大事な点なので環境省のサイトから引用します(一部数字を半角に修正、下線・色付けはさるねこ父)。

【事務局】 それでは、資料1につきまして説明させていただきます。
 資料1ですが、今回改正されました動物愛護管理法におきまして、第25条につきましては、今まで勧告・命令が生活環境の影響がある場合に限定されていたところでございますけれども、新しく虐待を受けるおそれがある場合について、多頭飼育の現場において不適正な状態がある場合については、勧告・命令ができるという規定が追加されております。また、35条の引取りの義務規定のところでは、一定の場合について引取りの拒否ができるという場合が追加されております。
 この2点につきましては、細かい部分については環境省令で定めるという形になっておりまして、その部分について、各自治体のアンケート調査の結果等も踏まえまして、事務局で案を作成させていただきました。特に(1)の虐待を受けるおそれのある事態については、今回の諮問の7番にも関係する事項でございますので、ご議論いただきましてご意見をいただき、反映させていただければと考えている次第でございます。
 ではまず、(1)の虐待を受けるおそれのある事態について説明をさせていただきます。
 まず基本的な考え方でございますけれども、多頭飼育を行っていること自体が問題なのではないのですが、多頭飼育に起因する場合について、比較的やはり動物虐待のおそれがあるような事態が生じる可能性があるということも踏まえまして、そういった事態が生じることをできるだけ未然に防ぐために必要なタイミングで行政の指導に入る。法的権限があるものとしては、勧告ですとか命令といったものも行えるようにするということが基本的な考え方でございます。
 勧告・命令というのは、自治体のアクションとしては起こしにくいものではございますが、できる限りそれが行いやすいよう、客観的・具体的な事態を設定することが必要であると考えております
 ただ一方で、多頭飼育の場合については、行政間のトラブルや、実際のやり方によっては、飼育崩壊や飼育放棄という形で、最終的な動物のことを考えた場合、動物に対して悪影響になるという事態も想定されますので、その部分については、勧告・命令を行うに当たっても慎重な配慮が必要という点は考えられるかと思っております。
 参考資料1をあわせてご覧ください。こちらが、今回の審議会に先立ちまして、全国の自治体にアンケート調査をさせていただいた結果でございます。
 7ページ以降が、虐待のおそれのある事態についての関係でございます。7ページの問7では、生活環境の影響の具体的事例について、自治体から聴取をしたところでございますけれども、そこでは、飼育環境の悪化ですとか不適正な繁殖について、多くの意見をいただいているところでございます。
 さらに10ページ目以降で、実際に虐待を受けるおそれがある事態として具体的に規定してもらいたいものがあるかという質問をさせていただいたところ、治療を怠っている場合ですとか、昼夜を問わず犬の異常な鳴き声が出ている状態ですとか、不適正な飼養が行われているような事態など多く意見をいただいているところでございます。
 ただ、この問題については、虐待と虐待のおそれとの区別が難しいところでございます。また一方で、一般住民の飼養状況が対象ですので、現行の規定では立入りということが法的に認められているものではございませんので、事態について外部から見られるかどうかということが一つ鍵になってくるという部分もございます
 そういった部分も検討した結果、今回、事務局案としては、五つの事態を規定したらどうかということで案を出させていただきました。
 まず[1]、[2]は外から把握しやすいという観点から定めさせていただいたものでございます。一つはやはり鳴き声がやまないという状態、頭数によっては継続的に続く場合があると思いますが、昼夜を問わず鳴き声がやんでいない状態ですとか、あるいは特に犬等ですと、鳴き声によって通常の鳴き声ではない鳴き声ということもありますので、そういった異常な鳴き声が続くというような状態が継続していて、不適正な飼養状況が想定されるような事態。[2]につきましては、悪臭ですとか、あとは衛生動物が大量発生をしていて、不衛生な飼養環境が想定されるような事態といった場合については、外見上からは虐待を受けるおそれがある事態として考えられるのではないかと考えております。
 さらに[3]、[4]は、それぞれの個体の状況でございますけれども、場合によっては、外飼いですとか、あるいは散歩ですとか、そういった状況においてこのような事態が見受けられる、外から判明するという場合も想定されます。実際、そういったものが発見された場合については、勧告・命令の対象としてもいいのではないかというものでございます。一つは、給餌・給水が一定頻度行われていないような状態で、栄養不良のような個体が見られる事態、あるいは爪が異常に伸びている、体表が著しく汚染されているなどの適正な飼養が行われていない状態が判明して、それが長時間続いているように見られるというような状況でございます。
 最後の[5]は、なかなか外部から判明しづらいという部分ではございますが、実際のところ、多頭飼育に関する問題、自治体からの聴取等、アンケートの結果等も踏まえましても、繁殖が定時的に継続的に行われていて、結局、飼養者のキャパシティを超えてしまっている状態が一番事態として深刻化する傾向があります。そういった意味で、繁殖制限措置が講じられていなくて、なおかつ譲渡等によって飼養頭数を削減するという努力が行われていないような状態で、また引き続き繁殖によって飼養頭数が増加しているような事態というのは、虐待を受けるおそれがある事態として考えられるのではないかと考えているところでございます
 なお、このような事態が生じた場合に、即座に勧告・命令をするということではございませんで、場合によっては適正な飼養が行われているけれども、一時的にそういった事態が生じている可能性もありますので、まず担当職員による改善指導を行っていただいて、その指導に従わないですとか、あるいはなかなか中を見せてくれない、要するに現状確認ができないような状況で、その状況を指導等により改善が望めない場合については、虐待を受けるおそれがある事態として勧告・命令等をするという手続を踏んでいただくということが適切ではないかと考えております。
 いずれにしても、このような事態が発生した場合には、自治体において指導をいただいて、それで改善すればわざわざ法的な根拠に基づいた権限を用いなくてもいいのですけれども、まずそういった指導の端緒としていただくという意味合いが一つ大きいのかなと考えているところでございます。

第25条の発動は、「虐待が現に生じている」場合ではなく、それより手前の「虐待を受ける恐れがある事態が生じている」場合です。ネグレクトを含めて「虐待が現に生じている」場合は、むしろ法第44条第2項の虐待条項が適用され、それは動物行政の仕事の範疇を離れて警察の方の仕事になります(警察がなかなか動かないという由々しき問題はありますが、それは今回のパブコメの範囲ではありません(-_-))。

改正法第25条第3項は、法第44条第2項の手前の段階で、虐待(多頭飼いのネグレクト系に限定はされますが)を未然に防ぐべく設けられた条項のはずですが、「一般住民の飼養状況が対象ですので、現行の規定では立入りということが法的に認められているものではございません」という大きな壁が最初から立ちはだかっていることになります。保健所・動物愛護/管理センターには、一般家庭に立入りする権限はないからです。「あやしいなあ」と思っても、垣根の外からそぅっとのぞきこむよりほか手立てがない(その飼い主が「どうぞ、どうぞ」と部屋に招き入れてくれるなら別ですが)。

これは要するに、子どもの虐待と児童相談所の関係と同じです。「あやしいなあ」と思っても児童相談所はその家庭に踏み込む権限を持たない。結果として、児相が手をこまねいている間にまた子どもの犠牲が……というのと同じ構図になっています。

一般人の家の中に踏み込めるのは、令状を持った警察官・検察官か、税金滞納者の差し押えをする徴収職員だけです(たぶん)。「動物の虐待の恐れ」を理由に一般人の家の中に立ち入れるようにするには、それらと同等の強力な権限を持つ「アニマルポリス制度」を作らないかぎり無理です。結局のところ、「まず担当職員による改善指導を行っていただいて、その指導に従わないですとか、あるいはなかなか中を見せてくれない、要するに現状確認ができないような状況で、その状況を指導等により改善が望めない場合については、虐待を受けるおそれがある事態として勧告・命令等をするという手続を踏んでいただく」という二段、三段構えでしか、実効性を担保することはできないという、なんともぬるま湯な現実が浮かび上がります。

現場=保健所・動物愛護/管理センター職員へのアンケート結果をまとめた参考資料1では、このぬるま湯な現実に、ほかならぬ職員の方々がいらだっていることが透けて見えます。参考資料1の13ページから始まる「問9.『虐待を受けるおそれのある事態』として、たとえば以下のような事例が想定されますが、このような事例を定めることについて御意見あればご記入下さい」という質問に対する回答は、この点に関するパブコメを書く上で必読の資料になるとさるねこ父は思います。

ここではそのなかの一部、「全体について」という部分だけ引用して、記事を閉じたいと思います。現場の職員さんが、日々考え、苦悩しているようすがよくわかりますし、こうした考えを、自分もパブコメに反映させなくては、という気にさせられます。

  • 各例について、具体的かつ明確な判断基準が示されなければ、現場での判断が困難である。
  • 事例を定めることで、具体な判断が可能となるが、記載内容については、客観的な判断ができるよう数値的基準等(例えば、(個体の大きさに応じたケージの広さ、温度、爪の長さ、毛玉の量、過剰な頭数、体長・体重と頭数・ケージの面積等との関連)も考慮したものとすべきと考える。
  • 上記の事例を定めることは必要と思われる。さらに、法に規定されている「多数」について明確に示していただく他、衰弱、運動不足状態についてより詳細に示していただきたい。
  • 「極度」「度重なる」「繰り返される」「過剰」等の表現について、具体的な数値等を規定して頂きたい。
  • 示された事例の中に「不適切」という言葉があった場合、何が適切で何が不適切なのかは個人の判断に委ねられることになり、この不明確な状態で自治体が指導を行うことは困難である。
  • 虐待か否かに感情が入る余地が無いよう、あくまでも具体的事例の定義をお願いしたい。(事例を定める場合はできる限り客観的に測定可能な数値を定めてほしい。また、想定外においても規制できる制度設計にしてほしい)
  • 勧告、命令という行政指導、行政処分を行うためには客観的な判断基準が必要であり、国が準則として示す必要がある。
  • 改善の勧告や命令を行い、改善されなかった場合、飼養者の告発を検討することになるが、同時に残された動物の取扱いをどうするのかという問題も発生する。この問題についても並行して議論する必要があると考える。
  • 個々の案件は状況が違うので、具体的に規定する事で、かえって行政の裁量で動ける範囲に制限がかかるため、例1以外は明示すべきではないと考えます。
  • 虐待について事例を定めることは、適正飼養の指導指標になり、好ましいと思われる。ただし、個々の案件の判断は、動物自身の心身の状態、置かれている環境の状態を考慮して慎重に行われるべきと考える。
  • 具体的な虐待事例を規則で規定した場合、規定された事案以外でも虐待と判断できるよう、「その他、動物の身体、生命を侵害する恐れのある行為」を最後の号にいれる。
  • 現状を分析した上で、総合的に判断できるような対応としてほしい(該当1例のみで、住民からすぐに措置をするように求められる場合も想定され、1~数例をもとに判断できるように)
  • 上記のような具体例が示されれば、指導は行いやすいと考えます。
  • 具体的な事例を定めることにより、客観的にも虐待と判断でき、より強く改善を命じることができ、また警察にも協力を得やすいため、ぜひ定めてほしい。
  • 実態を把握する方法、手段等を明確にする必要がある。
  • 事実確認の困難な事例を規定することは避けてもらいたい。
  • 虐待に関する事例を定め、それを取り締まる規定を設けた場合、その認定を行う職員(指導員またはそれに準ずる人も含む)の権限の拡充、資格の明確化等が必要。
  • 具体的な事例だけを定めたとしても、自治体に苦情相談が寄せられた場合、同法に基づく立入権限が無いため、事実確認を客観的に行うことが困難となるケースが予想される。国としてはこのようなケースに対しどのように考えるか。
  • 事例が定められたとしても、それを確認したり、調査したりするためには警察等捜査機関との今以上の連携が求められる。
  • 個人宅等への調査・立入の権限が無いことから、警察との連携が十分に図られた後に規制強化を行わなければ機能しないと考える。
  • 職員に与えられた権限の中で事態を認定できるような事例を定めるべき。
  • 上記のような事例に遭遇した場合、飼い主に対しての改善命令を出せるように権限を法的に規定してほしい。また、違反したばあいに罰則を与えられるように規定してほしい。
  • 個々の事例に対し、具体的数値を設けることが難しいのであれば、保健所など現在の動物愛護行政を担当する部署とは別に、虐待が疑わしい事例に対して積極的に指導等を行える専門機関を設置することが望ましいとも考える。
  • 具体的な事例を列記するだけでなく、規定された事例の判断を誰がするのかの規定も必要(開業獣医師等の協力など)。
  • 法第25条では「多数の動物の飼養・保管」に限られているが、例1~7の中には多数に限らず虐待を受けるおそれのある事態に当たるものも含まれている。多数のうち1頭でも当該事例に該当すると認めるのであれば、運用可能として良い旨明示していただきたい。
  • 不適正飼養について指導した結果、多くの飼主が飼育を放棄し、引取りを求めてくる。引取った犬猫は殺処分せざるを得ず、引取りを拒否すれば不適正飼養の改善が見込めない。事例を定めることで、自治体への通報件数は大幅に増加すると思われる。円滑な調査・指導のため、環境省でマニュアル策定などの支援をお願いしたい。
  • アニマルホルダーなど命令に従わない飼育者が想定される。このような場合、最終的には行政での引取りを視野に入れて勧告・命令を下す必要があるが、自治体単独で多頭数の譲渡を行うことが困難な現状では、個別具体的な事例が示されても慎重に対応せざるを得ない。法第25条が適切に運用されるには、このような個別事例を示すだけではなく、引取った動物の譲渡に係る体制整備を併せて進めておく必要がある。
  • 「虐待を受けるおそれのある事態」ではなく、法第44条罰則を適用すべき「虐待事例」を規定してください。
  • 例示の多くは第44条第2項の直罰規定との関係が不明瞭であるため、運用時にいずれの規定を優先適用すべきか判断に迷う事態を招くものと思われます。
  • 「多頭飼育」に起因する「虐待のおそれ」とは何かについて、「虐待」との違いも含め明確にされたい。
  • 爬虫類や鳥類の想定もして欲しい。
  • 「意図的に」等の文言を追加すべきと考える。
  • 例1~8の事例が確認されても所有者等と連絡が取れない場合があるため、強制的にその動物を保護できる規定を設けていただきたい。
  • 個々の案件は状況が違うので、具体的に規定することにより、かえって行政の裁量で動ける範囲に制限がかかるため、例1以外は明示すべきではない。
  • 例2~例4:例示の事態を確認した時点での判断となるのか、長期間同様の事態であることを確認した場合の対応となるのか。

パブコメ:II 販売に際しての情報提供の方法

改正法第21条の4関係です。

(販売に際しての情報提供の方法等)
第二十一条の四 第一種動物取扱業者のうち犬、猫その他の環境省令で定める動物の販売を業として営む者は、当該動物を販売する場合には、あらかじめ、当該動物を購入しようとする者(第一種動物取扱業者を除く。)に対し、当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面(対面によることが困難な場合として環境省令で定める場合には、対面に相当する方法として環境省令で定めるものを含む。)により書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を用いて当該動物の飼養又は保管の方法、生年月日、当該動物に係る繁殖を行つた者の氏名その他の適正な飼養又は保管のために必要な情報として環境省令で定めるものを提供しなければならない。

これは今回新設された条項で、ポイントは「対面販売」と「販売に至るまでの経緯と現状の明示」です。パブコメを募集する項目は次の通りです。

(1)規制対象

販売業者のうち「犬、猫その他の環境省令で定める動物の販売を業として営む者」となっている部分の「その他」をどこまで含めるか。現在の案では、「動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)」が対象となります。金魚やカエルは含まれない、ということで、それでいいかどうか、ですね。

(2)対面販売の例外

いわゆるネット販売の排除です。現在の案では「対面販売の例外は設けない。ただし、今後十分に例外を設けるに十分に合理的な事態が判明した場合には、改めて例外規定を設けることを検討する。」と、将来的な例外規定に含みを残したかたちになっていますが、それでいいかどうか。

「ただし~」以下を削除する、というコメントは大いにあり得ると思われます。

(3)対面説明にあたっての情報提供項目

これまでの項目(施行規則第8条第4項)のうち、単に「カ 生産地等」となっていた部分が、「カ 繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(輸入された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては輸入先の名称及び所在地、譲り受けた動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては譲受先の名称及び所在地を記載する等の例外規定を設ける。)」と詳細に規定されるようになります。

簡単に言えば、販売業者がブリーダーから仕入れた場合(かなりの数はそうでしょう)、そのブリーダーの個人名or団体名と、登録番号または所在地を説明しなさい、ってことになります。トレーサビリティの確保が目的で、販売業者が質の悪いブリーダーから買い受けたりすることへの抑制効果が見込まれますが、ブリーダー情報として「個人名or団体名と、登録番号または所在地」というのは必要十分かどうかがポイントになります。

第34回議事録では、この点について少し長めの議論がありましたので、興味のある方は議事録を参照されて下さい(だいたい全体の2/5あたり、太田委員による「現物確認・対面販売の件ですが、一番最後に説明された、情報提供の項目のカの項目ですが……」から始まります)。

(4)販売業者間の取引における情報提供項目

これまでは、販売業者間での取引では、「品種等の名称」以外についての相手方への説明(情報提供)は省略できました。しかし、それでは犬猫などが業者間で転売されていった場合、上記(3)で問題となったトレーサビリティが確保できなくなってしまいます。このため、(3)と同様のブリーダーへの連絡先を、業者間取引でも説明することが義務づけられるようになりました。これでいいかどうかがコメントの対象となります。

パブコメ:I 犬猫等販売業者関係

改正法第10条第3項、第12条本文、第22条の6第1項~第3項関係です。

(第一種動物取扱業の登録)
第十条 動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節から第四節までにおいて同じ。)の取扱業(動物の販売(その取次ぎ又は代理を含む。次項、第十二条第一項第六号及び第二十一条の四において同じ。)、保管、貸出し、訓練、展示(動物との触れ合いの機会の提供を含む。次項及び第二十四条の二において同じ。)その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。以下この節及び第四十六条第一号において「第一種動物取扱業」という。)を営もうとする者は、当該業を営もうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下「指定都市」という。)にあつては、その長とする。以下この節から第五節まで(第二十五条第四項を除く。)において同じ。)の登録を受けなければならない。

2 (略)

3 第一項の登録の申請をする者は、犬猫等販売業(犬猫等(犬又は猫その他環境省令で定める動物をいう。以下同じ。)の販売を業として行うことをいう。以下同じ。)を営もうとする場合には、前項各号に掲げる事項のほか、同項の申請書に次に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
  一 販売の用に供する犬猫等の繁殖を行うかどうかの別
  二 販売の用に供する幼齢の犬猫等(繁殖を併せて行う場合にあつては、幼齢の犬猫等及び繁殖の用に供し、又は供する目的で飼養する犬猫等。第十二条第一項において同じ。)の健康及び安全を保持するための体制の整備、販売の用に供することが困難となつた犬猫等の取扱いその他環境省令で定める事項に関する計画(以下「犬猫等健康安全計画」という。)

(登録の拒否)
第十二条 都道府県知事は、第十条第一項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、同条第二項の規定による登録の申請に係る同項第四号に掲げる事項が動物の健康及び安全の保持その他動物の適正な取扱いを確保するため必要なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき、同項の規定による登録の申請に係る同項第六号及びハに掲げる事項が環境省令で定める飼養施設の構造、規模及び管理に関する基準に適合していないと認めるとき、若しくは犬猫等販売業を営もうとする場合にあつては、犬猫等健康安全計画が幼齢の犬猫等の健康及び安全の確保並びに犬猫等の終生飼養の確保を図るため適切なものとして環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき、又は申請書若しくは添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 (以下略)

(犬猫等の個体に関する帳簿の備付け等)
第二十二条の六 犬猫等販売業者は、環境省令で定めるところにより、帳簿を備え、その所有する犬猫等の個体ごとに、その所有するに至つた日、その販売若しくは引渡しをした日又は死亡した日その他の環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない

2 犬猫等販売業者は、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める期間ごとに、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない
  一 当該期間が開始した日に所有していた犬猫等の種類ごとの数
  二 当該期間中に新たに所有するに至つた犬猫等の種類ごとの数
  三 当該期間中に販売若しくは引渡し又は死亡の事実が生じた犬猫等の当該区分ごと及び種類ごとの数
  四 当該期間が終了した日に所有していた犬猫等の種類ごとの数
  五 その他環境省令で定める事項

3 都道府県知事は、犬猫等販売業者の所有する犬猫等に係る死亡の事実の発生の状況に照らして必要があると認めるときは、環境省令で定めるところにより、犬猫等販売業者に対して、期間を指定して、当該指定期間内にその所有する犬猫等に係る死亡の事実が発生した場合には獣医師による診療中に死亡したときを除き獣医師による検案を受け、当該指定期間が満了した日から三十日以内に当該指定期間内に死亡の事実が発生した全ての犬猫等の検案書又は死亡診断書を提出すべきことを命ずることができる

ここで主眼となるのは「犬猫等健康安全計画」と「犬猫等の個体把握のための帳簿作成」です。パブコメを募集する項目は次の通りです。

(1)犬猫等販売業の範囲

どういった業種を改正法第10条第3項で定める「犬猫等販売業」と呼ぶのかについて検討しています。「等」とはついていますが、現時点では「犬又は猫の販売を業として行うこと」を犬猫等販売業の範囲とすることになっています。

この「犬猫等」販売業者には、「犬猫等健康安全計画」を立てさせることになっています。幼齢個体や繁殖用成体を適正に飼養できるかどうか、また、売れなくなった個体をきちんと終生飼養できるか、などといった項目について、あらかじめ業者に計画させるわけですが、そうした「管理」を犬猫以外の動物(たとえばイエウサギとかハムスターとかセキセイインコとかミドリガメとか)にも適用するのであれば「等」の部分でそれらを含めるようにするわけです。

今回「犬猫等」に「犬猫」しか含めないとするのは、イエウサギやハムスターやセキセイインコやミドリガメについては、個体管理や終生飼養は不要である、ということと同義です。それでいいかどうか、という点がパブコメの対象ですね。

(2)犬猫等健康安全計画の記載事項

今回の改正の目玉の一つである「犬猫等健康安全計画」に盛り込むべき内容はなにか、という点です。(1)販売の用に供する幼齢の犬猫等の健康及び安全を保持するための体制整備、(2)販売の用に供することが困難となった犬猫の取扱いの2点については、改正法本文内で既に規定されています。それ以外の点について施行規則でどう定めるかという点について、素案では「(3)幼齢の犬猫の健康及び安全の保持に配慮した飼養、保管、繁殖及び展示方法」が挙げられ、「具体的には生後56日(経過措置期間中は45~49日)までの間の親等との飼養、展示時間の配慮、ケージの十分な大きさの確保の他、夜間展示を行わない等の幼齢の犬猫に係る法令遵守等の記載を求める。」と付記されています。

8週齢規制は、法改正時のパブコメでも盛んに議論された部分ですが、規制する期間についてはいささか後退が見られました。今回のパブコメでは、期間は短くなったとしても、せめて「どのように規制するか」については、必要十分となる規定を施行規則内に含めるように意見を述べる、という戦略になるだろうと思います。

(3)犬猫等健康安全計画が幼齢の犬猫等の健康及び安全の確保並びに犬猫等の終生飼養の確保を図るために適切なものとして環境省令で定める基準

改正法第12条では、ちゃんとした「犬猫等健康安全計画」を出してこない業者については、第一種動物取扱業の登録申請を拒否することができるようになっています。では、「ちゃんとした」とはどういうものなのかが問題となります。素案では、(1)施行規則第3条、同第8条を遵守していること、(2)「明確かつ具体的」に幼齢個体の健康・安全保持について計画していること、(3)売れなくなった犬猫の扱いが「終生飼養確保」という点で「適切」であること(≒単なる飼い殺しに終わらないこと)、となっています。

コメントするとすれば、どこまで「具体的」に規定を盛り込めるか、というあたりになるんでしょうか。うーん、これはよくわからない。第34回議事録の事務局説明では「具体的な計画の実例につきましては、実際のその販売業者さんができるだけ円滑に移行できるように、その規定例について、より詳細なものについて、環境省で示させていただく予定にしております」となっているので、結局それに準拠するかたちの紋切り型の計画が業者からは出てくるのでしょう。むしろ、「計画をちゃんと守っているか・守る能力があるかを、チェックできるか」の方が大事な気がします。

(4)帳簿記載事項

販売業者が、所有する犬猫1匹ごとに作成する「帳簿」についてです。これは獣医師の作成する「カルテ」に相当するようなものと言えますが、次の11項目が挙げられています。

  1. 個体情報
  2. 繁殖者名(繁殖者が不明な場合にはそれに代わる情報)
  3. その所有するに至った日
  4. 購入先(譲受先)の名称等
  5. 販売又は引渡しをした日
  6. 販売・引渡し先の名称等
  7. 販売・引渡し先の法令遵守状況
  8. 販売担当者名
  9. 説明及び確認の実施状況
  10. (飼養・保管中に死亡の事実があった場合には)死亡した日
  11. (同上)死亡原因

コメントとしては、これで必要十分かどうか、ということでしょうが、たとえば販売業者の側で「これでは多すぎる、もっと簡略化すべき」というコメントが出てくるかもしれないことを見越して、「これらの点は、すべて省略してはならない」というコメントもあり得るかもですね。

また、この「帳簿」は電子化することが可能で、記載後(≒業者がその個体を取得後)5年間保存することになっています。「電子化したら、こっそり書き換えが可能だからよくない」とか「5年では短すぎる」といったコメントが考えられます。

(5)都道府県知事への定期報告

犬猫等販売業者は、「(1)期間初日の犬猫等所有頭数(種類ごと)」「(2)期間中新たに所有することになった犬猫等頭数(種類ごと)」「(3)期間中販売・引渡・死亡した犬猫等頭数(それぞれ種類ごと)」「(4)期間末日の犬猫等所有頭数(種類ごと)」を報告することになっています。要するに、(1)+(2)-(3)=(4)になっているか、在庫と出入りが一致しているかどうか報告せよ、ってことですが、どのくらいの頻度で報告すべきかについて「年1回」として素案は規定しています。そして、年度終了後60日以内に報告することとされています。それでよいかどうか。

また、(1)~(4)以外に報告すべきことを規定できるようになっていますが、素案では「月毎の(3)と(4)の数字を報告せよ」となっています。「なにか異常があったら、すぐに把握できるようにするため」だそうですが、なんで(2)は省くんだろうか。

(6)検案書等の提出命令

販売業者の所有する犬猫が死んだ場合、必要に応じて提出される「検案書」の様式を、別途定めることとなっています。

ネグレクトを含む虐待死が疑われるような場合、それをチェックできるような様式になっていればいいんだろうと思いますが……それくらいですかね。

長崎・佐世保・諫早・大村の譲渡会等情報-065

【譲渡会に参加して里親さま探しをしたいと考えていらっしゃる方へ】
譲渡会の飛び入り参加はできませんので、必ず遅くとも前日までに主催者の方に連絡してください。また「譲渡会持ち物リスト」をおまけに付けています。参加されるときの参考にされてください。よりくわしくはこちらの記事を

また、これらの情報をどういう基準で掲載しているのかについてお問い合わせをいただくことがあります。この点についてはこちらの記事をご覧下さい

検索でこのページにたどり着いた方へ:このページの情報が古いものである場合は、こちらから最新情報へお回りください


下記の主催者さんについては情報が入り次第追記いたします。
Animal Rescue 佐世保さん……年内は譲渡相談会はありません
長崎はっぴーあにまるさん
長崎猫倶楽部さん
 
関連リンク:
長崎市動物管理センター[収容犬情報]
長崎県動物愛護情報ネットワーク[譲渡犬情報][譲渡猫情報]
長崎県地域猫活動連絡協議会


譲渡会で一般的に必要なもの
(◎=必須、☆=できるだけあるとよい、△=あれば便利、▼=必要に応じて)
☆展示用ラビットケージ(例1=600サイズぐらいが適当、例2
◎首輪、リード類(万一の脱走防止のために必須です) 
◎ペットシーツ(あればワイドサイズの方が便利)
◎水&水飲み皿 
☆ごはん&ごはん皿
▼ごほうび的なフード(使いかけをキープするならラップやタッパなども)
☆適当な大きさの箱(100均など)+トイレ砂(譲渡会ではトイレを使わない子の方が多いですが、念のため)
◎ねこじゃらしなど、普段から使っているおもちゃ(ふだんは腕白・おてんばでも、譲渡会では思いのほか固まります。おもちゃで気を引けるように)
◎ビニール袋&レジ袋
◎古新聞紙
△セロテープ&はさみ
△ガムテープ
◎タオル(何枚か)
△バスタオル
☆トイレットペーパー、キッチンペーパー
☆ウェットティッシュ 
☆消毒殺菌剤(バイオウィルクリア白十字清浄綿消毒用エタノールエタノールジェルなど)
△ねこ用爪切り 
◎連絡先として希望者さまに渡せるカード(名刺や、子ねこの写真をプリントしたものの裏に電話番号を書いたものなど)
☆ふだんのようすを写した写真・かわいい写真(譲渡会では普段と違ったふるまいをしますので、少しでも素の状態を知ってもらうために) 
▼子ねこの特徴などを書いたチラシなど
▼譲渡にあたってのお願いをまとめた資料など
▼カメラ(バッテリの充電も忘れずに)
☆筆記用具
▼人間のごはんやおやつ、ドリンク類(けっこう長丁場です、栄養補給を)
冬場に特に必要なもの
☆サランラップ(30cm幅)……ラビットケージの周囲に巻いて風&寒さ避けにします。
◎ケージ・バリケンに敷く小型の毛布やフリースなど暖かい素材……ケージもバリケンも床はプラスチックなので冷たいです。ねこベッドのように立ち上がりの壁があるものならベター。
◎貼るタイプの使い捨てカイロ……ミニサイズが使い勝手良いです。

    動物愛護法改正関連パブコメの資料が出そろいました

    以前お知らせした「動物の愛護及び管理に関する法律」改正に伴うパブリック・コメントの募集は11月13日から開始されていましたが、これに関連する中央環境審議会動物愛護部会の第31回~第34回議事録がなかなかアップされず、やきもきしていました。ようやく昨日11月26日にほぼすべての資料が出そろったようなので、ここで全体をまとめておきます。

    「動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正等に伴う動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正案」に関するパブリック・コメント

    タイトル長すぎますよね(-_-)。前の記事で使った表現を使うと、「動愛法=骨格となる部分」を一部手直しするので、それに伴って「細かい規則=肉付け部分」も手直ししますけど、これでいいかしら? どうかしら? ご意見募集中! ってことですね。「意見募集要項」はこちらです(PDF書類)。郵便・FAX・E-mailで受け付けていますが、この記事をご覧になれるようなネット環境にある方は、普通はメールで送るでしょう。

    • 宛先:環境省自然環境局総務課 動物愛護管理室あて
         (E-mail: aigo-05 [at] env.go.jp ---[at]は@に読み替え)
    • 件名:「動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正等に伴う動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正案に関する意見」
    • 記入に当たっては、まず「住所」「氏名」「年齢及び性別」「電話番号」を明記した上で、意見を述べる。
    • 意見は、「該当箇所(資料のどの部分についての意見か該当箇所が分かるように明記)」「意見内容」「理由」の3点をセットにして述べる。

    意見したい箇所が2箇所以上になるなら、適宜見出しなり通し番号なりをつけて述べていけばいいと思います。「なにか特殊な書式で、難解な法律用語を駆使して、堅苦しく述べなければいけないんじゃないか」なんて難しく考えがちですが、もっとあっさりしていていいと思います。一例を作ってみます。

    該当箇所:動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正関連「VI 犬猫の引取りを拒否できる場合について」の末尾「生活環境の保全上の支障を防止するため引取りが必要と判断される場合」について

    意見内容:「引取りが必要と判断される場合」という部分を「引取り以外に有効な手段がないと判断される場合」と改めるべきである。

    理由:そもそも「生活環境の保全上の支障」を生じさせないことは、改正後の第7条第1項において所有者責務の一つに掲げられており、そのためには、行政による引取り以前に、飼い主があらゆる手段を尽くすべきである。「引取れば解決するから、引取る」ではなく「引取る以外に解決方法がないから、引取る」という原則で臨まなければ、「行政による安易な引取りによる殺処分」という問題を放置することになると考えられる。

    こんな感じですかね。「生活環境を守るために、積極的に引取る」んじゃなくて「生活環境を守るために、それ以外に手段がないから、消極的に、やむを得ず引取る」というスタンスじゃなきゃ、いつまで経っても殺処分はなくせないだろう、ということを書いてみたんですが、どうでしょう。


    パブコメは、環境省から示された「資料」の一定の部分に対して、「いやいや、これはこうなんじゃない? だって、こうなんだし」と意見を述べることになります。じゃあ、その「資料」ってどれ? ってことになりますが、今回は2種類あります。またタイトル長いですよ。

    1. 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正(案)の概要(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正関連)PDF書類
    2. 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則等の一部改正(案)の概要(特定動物関連)PDF書類

    動物愛護の法制度を専門的に扱っている方なら、これらのすべてに渡って、いろいろと述べたいことをお持ちでしょうが、パブコメを送るときには「すべてに渡って」意見を述べる必要はありません。自分が関心のある部分・自分が特に強い思いを持っている部分について述べるのでもいいのです。1の資料はかなり広い範囲にわたりますが、2の資料は限定的ですので、2の方から簡単に説明します。

    資料2(特定動物関連)

    普通のペットではない、飼うためには特殊な知識や許可が必要な動物が、人間に危害を加える重大事故が近年起こっていることが背景にあります。中央環境審議会動物愛護部会で例に挙がったのは、2012年4月の秋田八幡平クマ牧場における飼育員2名の死亡事故、2012年4月茨城県牛久市のペットショップにおけるアミメニシキヘビによる従業員1名の死亡事故、2008年7月東京渋谷区・2012年8月神奈川県相模原市での無許可での毒ヘビ類飼養による咬傷事故、2012年9月熊本県阿蘇カドリードミニオン『みやざわ劇場』でのチンパンジー(パンくん)による助成研修員咬傷事故などです。

    こうした事故が起こらないように、関連する法規類をこんなふうに改正して整備しますよ、というのが資料2になります。

    資料1(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正関連)

    こちらの資料はPDFで18ページにものぼります。読むのも大変ですし、途中で読んでいて眠くなるような項目の羅列もあったりします。以下、見出しだけ掲げて、細かい内容は別記事にしたいと思います。

    1. 犬猫等販売業者関係(p.1~3)
    2. 販売に際しての情報提供の方法(p.4~5)
    3. 第二種動物取扱業関係(p.6~15)
    4. 特定動物飼養保管許可制度関係(p.16)
    5. 虐待等を受けるおそれのある事態について(p.17)
    6. 犬猫の引取りを拒否できる場合について(p.18)
    7. その他(p.18)

    上に挙げたさるねこ父のパブコメ案は、資料1のVI(犬猫の引取りを拒否できる場合について)のなかの一部分について、ということになりますね。


    これらの資料ができあがってくる過程では、中央環境審議会動物愛護部会で都合4回の会議が開かれて、ディスカッションやヒアリングが行なわれてきました。2012年9月6日=動物の愛護及び管理に関する法律の改正法が公布された翌日の第31回、10月3日の第32回、10月23日の第33回、11月6日の第34回です。それぞれの議事要旨・議事録が出そろったのが昨日11月26日ですが、リンクをたどる上で一覧性が悪いので、ここでまとめておきます。

    第31回(2012年9月6日)

    議事録-議題

    1. 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)の公布について
    2. 警戒区域に取り残された犬猫について
    3. その他(深夜販売規制とねこカフェについて)
    配付資料
    資料1「動物愛護管理制度の見直しについて」[PDF 18KB]
    資料2「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)概要等」[PDF 513KB]
    資料3「改正法に係る政省令等改正検討スケジュール(案)について」[PDF 13KB]
    資料4「改正動物愛護管理法と政省令事項」[PDF 16KB]
    資料5「警戒区域内における犬猫の保護活動の進捗状況」[PDF 12KB]
    参考資料1「動物愛護週間ポスター」[PDF 574KB]
    参考資料2「動物愛護週間中央行事チラシ」[PDF 964KB]

    第32回(2012年10月3日)

    議事録-議題

    1. 関係者ヒアリング(犬猫等販売業者、第二種動物取扱業者=動物愛護団体、多頭飼育・犬猫の引取り等、獣医師との関係)
    2. その他
    配付資料
    資料1「ヒアリング対象団体一覧」[PDF 61KB]
    資料2「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律について(今回のヒアリング関係部分)」[PDF 41KB]
    資料3「ヒアリングの実施について」[PDF 61KB]
    参考資料「一般社団法人 Rencontrer Mignon 活動概要」[PDF 210KB]
    参考資料 パンフレット「見つめ直して 人と動物の絆」

    第33回(2012年10月23日)

    議事録-議題

    1. 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)に基づく基準等の設定について
    2. 第一種動物取扱業者(犬猫等販売業者)及び第二種動物取扱業者に関する基準等について(骨子案)
    3. 特定動物リストの見直しについて
    4. その他(被災ペットの保護)
    配付資料
    資料1「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)に基づく基準等の設定について(諮問)」[PDF191KB]
    資料2-1「第一種動物取扱業者(犬猫等販売業者)及び第二種動物取扱業者に関する基準等について(骨子案)」[PDF163KB]
    資料2-2「参考資料」[PDF81KB]
    資料3-1「特定動物の見直し検討について」[PDF15KB]
    資料3-2「特定動物リストの見直しについて」(後日掲載)
    参考資料「警戒区域内における被災ペット(犬及び猫)の保護活動の実施結果について」[PDF27KB]

    第34回(2012年11月6日)

    議事録-議題

    1. 虐待のおそれのある場合及び引取りを拒否できる場合について
    2. その他改正法に係る基準等の案について
    3. 特定動物の許可基準について
    4. その他(パブコメの実施について)
    配付資料
    資料1「不適正な多頭飼育に起因する「虐待を受けるおそれがある事態」及び法第35条に基づく引取りを求める相当の事由がないと認められる場合について」[PDF24KB]
    資料2-1「第一種動物取扱業及び第二種動物取扱業に関する基準等について(素案)」[PDF95KB]
    資料2-2「第一種動物取扱業者と第二種動物取扱業者の基準比較」[PDF95KB]
    資料3「特定動物の飼養保管基準について」[PDF56KB]
    資料4「特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置について(素案)」[PDF12KB]
    参考資料1「動物取扱業者等に関する自治体アンケート調査」[PDF508KB]
    参考資料2「第二種動物取扱業に該当する飼養頭数の下限値と主な対象動物類について(例示)(案)」[PDF13KB]

    譲渡会報告(11/25市民会館前・しっぽの会ほか)

    9/2のR&G中央公園譲渡会以来、約3ヶ月ぶりの譲渡会報告になります。が、この日もばたばたしていて、遅刻&中抜けであまり写真は撮れていません。

    K-r34649
    犬班については、長崎 Life of Animal さんのブログへ。一般参加の子いぬが3匹、センター収容犬の大五郎くんが里親さま決定です。

    K-r34653
    猫班は今回、トライアルになりかけた子がいましたが、「完全室内飼い」の譲渡条件で折り合わず、お流れになっています。

    「完全室内飼い」には抵抗を感じる方もまだまだ長崎では多いのですが、長崎市の自家用車保有台数は、1987年=25年前の123,848台から、最新統計である2010年には207,764台へと約1.67倍に増加しています。外に出ているねこさんが交通事故に遭う確率は昔に比べてはるかに高いですし、郊外の道路事情は特に劇的によくなっていますから、「うちの周りは田舎だから、交通事故なんてだいじょうぶ」というのはもはや正しくありません

    こうした譲渡会に参加するねこさんたちは、見過ごせば亡くなるはずだった命を幸運にもつなぐことができた子ばかりです。そうした子を、みすみす交通事故の危険がいっぱいな「内外飼い」をする方にお渡しするなんて、とてもじゃないけどできない、というのが元親さんたちの正直な心境です

    ……と、「完全室内飼い」への注意を喚起したところで、参加ねこさんの紹介です。一部カエデさんの記事から写真を拝借しています。


    K小学校近くでれのんさんが保護されたソーニャちゃん(キジシロ・♀・3.5ヶ月)。FIV・FelV陰性、ノミダニ駆除済み、3種混合ワクチン1回済みです。

    K-r34673
    衿カラーがかわいいですね。カメラ目線もばっちり。

    K-r34677
    しっぽまで写っていませんが、短いしっぽです。性格は、人好きで、添い寝もしてくれるそうです。

    ソーニャちゃんの日々の様子はれのんさんのブログ「れのんのひとり言」でご覧になれます。お問い合わせは、ブログのコメント欄……かな?

     

    譲渡会参加の常連さんであるTさんのところの、ミミちゃん(ミケサビ・♀・6ヶ月)とユリちゃん(グレーサビ・メス・6ヶ月)。もう何度目かの譲渡会参加です。9月2日譲渡会参加のようすはこちらへ。

    K-r34683
    目線がもらえるようになったミミちゃん。ケージには寒さ対策のラップが巻いてあります。

    K-r34687
    ユリちゃんはよく寝てました。

    K-r34694
    ふたりの毛柄はこんな感じ。しっぽは、ミケサビのミミちゃんは長しっぽ、グレーサビのユリちゃんは中ぐらいの長さのしっぽです。いずれもワクチン接種済み。ミミちゃん・ユリちゃんへのお問い合わせは、こちらのフォームからご連絡いただければ、Tさんに取り次ぎます。

     

    Iさん保護のきぼうくん(2ヶ月・♂・シロクロ)とみらいちゃん(2ヶ月・♀・ミケ)は、旭大橋の下で保護されました。どちらも3種混合ワクチンを1回接種済みです。

    K-r34779
    きぼうくんは、右にちょびひげ。長しっぽです。

    K-r34777
    性格はおっとり控えめみたいです。カメラに写るのが怖いのか、じたばたじたばた。

    2012-1126_o0398026512302579037
    カエデさんから写真をお借りしました。

    K-r34765
    みらいちゃんはしっかりカメラ目線。

    K-r34764
    だけどイカ耳。しっぽはやはり長しっぽです。

    きぼうくん・みらいちゃんへのお問い合わせは、こちらのフォームからご連絡いただければIさんに取り次ぎます。

     

    きぼうくん・みらいちゃんと同じ、シロクロ男子(弟属性)&ミケミケ女子(姉属性)の組み合わせなのは、M町のNさんのところの海くん(シロクロ・♂・5ヶ月)と波ちゃん(ミケ・♀・5ヶ月)。3種混合ワクチン2回接種済みです。

    K-r34758
    風よけラップでスモーキーな感じですが、海くん。性格は控え目、お姉ちゃん(波ちゃん)大好きです。しっぽは短め。

    K-r34755
    波ちゃんは、少し涙目で瞬膜が出たりしています。現在目薬で治療中。性格は、活発で姉御肌です。しっぽは中くらい。

    海くん・波ちゃんの2ヶ月前のプロフィールはこちらから見ることができます。お問い合わせは、こちらのフォームからどうぞ。

     

    長崎猫の会.から譲渡されたみーこちゃん(りあるちゃん)の里親さまMさん保護のチーコちゃん(ミケ・♀・4ヶ月)。ワクチン2回接種済みです。

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    美人さんですね。

    K-r34752
    正統派の三毛柄です。性格はお茶目で人なつこいそうです。しっぽは長しっぽ。チーコちゃんへのお問い合わせは、こちらのフォームからご連絡いただければMさんに取り次ぎます。

     

    bangさん保護のウルちゃん(クロサビ・♀・17ヶ月)は、かぶりものデーでした。

    K-r34660
    トナカイ帽をかぶるウルちゃん。

    K-r34723
    三角帽をかぶるウルちゃん。ちなみに、三角帽をクリスマスにかぶる習慣は、1930年代にアメリカから日本に入ってきたようですが、最近はとんとお目にかからないですね。どうでもいいクリスマス豆知識でした。

     

    このほか一般参加で、ちびたろうくん(5ヶ月半・♂・キジ)、ミーちゃん(7歳くらい・♀・チャシロ)がいましたが、写真を取り損ねました。

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    ちびたろうくん(カエデさんの写真をお借りしました)

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    ミーちゃん(カエデさんの写真をお借りしました)

    そして、ぽんでらいよんさん保護猫のうーちゃん(サビ・♀・18ヶ月)、ぐりさん保護猫のドレミちゃん(シロクロ・♀・8ヶ月)、猫の会さん保護猫のしゅうぎょくくん(チャトラ・♂・14ヶ月)・昆布茶ちゃん(薄シロクロ・♀・5ヶ月半)・煎茶ちゃん(薄チャシロ・♀・5ヶ月半)と、全部で16匹が参加した譲渡会でした。

    次はみんにゃにご縁がありますように。

    長崎・佐世保・諫早・大村の譲渡会等情報-064

    【譲渡会に参加して里親さま探しをしたいと考えていらっしゃる方へ】
    譲渡会の飛び入り参加はできませんので、必ず遅くとも前日までに主催者の方に連絡してください。また「譲渡会持ち物リスト」をおまけに付けています。参加されるときの参考にされてください。よりくわしくはこちらの記事を

    また、これらの情報をどういう基準で掲載しているのかについてお問い合わせをいただくことがあります。この点についてはこちらの記事をご覧下さい

    検索でこのページにたどり着いた方へ:このページの情報が古いものである場合は、こちらから最新情報へお回りください


    下記の主催者さんについては情報が入り次第追記いたします。
    Animal Rescue 佐世保さん……年内は譲渡相談会はありません
    長崎はっぴーあにまるさん
    長崎猫倶楽部さん
     
    関連リンク:
    長崎市動物管理センター[収容犬情報]
    長崎県動物愛護情報ネットワーク[譲渡犬情報][譲渡猫情報]
    長崎県地域猫活動連絡協議会


    譲渡会で一般的に必要なもの
    (◎=必須、☆=できるだけあるとよい、△=あれば便利、▼=必要に応じて)
    ☆展示用ラビットケージ(例1=600サイズぐらいが適当、例2
    ◎首輪、リード類(万一の脱走防止のために必須です) 
    ◎ペットシーツ(あればワイドサイズの方が便利)
    ◎水&水飲み皿 
    ☆ごはん&ごはん皿
    ▼ごほうび的なフード(使いかけをキープするならラップやタッパなども)
    ☆適当な大きさの箱(100均など)+トイレ砂(譲渡会ではトイレを使わない子の方が多いですが、念のため)
    ◎ねこじゃらしなど、普段から使っているおもちゃ(ふだんは腕白・おてんばでも、譲渡会では思いのほか固まります。おもちゃで気を引けるように)
    ◎ビニール袋&レジ袋
    ◎古新聞紙
    △セロテープ&はさみ
    △ガムテープ
    ◎タオル(何枚か)
    △バスタオル
    ☆トイレットペーパー、キッチンペーパー
    ☆ウェットティッシュ 
    ☆消毒殺菌剤(バイオウィルクリア白十字清浄綿消毒用エタノールエタノールジェルなど)
    △ねこ用爪切り 
    ◎連絡先として希望者さまに渡せるカード(名刺や、子ねこの写真をプリントしたものの裏に電話番号を書いたものなど)
    ☆ふだんのようすを写した写真・かわいい写真(譲渡会では普段と違ったふるまいをしますので、少しでも素の状態を知ってもらうために) 
    ▼子ねこの特徴などを書いたチラシなど
    ▼譲渡にあたってのお願いをまとめた資料など
    ▼カメラ(バッテリの充電も忘れずに)
    ☆筆記用具
    ▼人間のごはんやおやつ、ドリンク類(けっこう長丁場です、栄養補給を)
    冬場に特に必要なもの
    ☆サランラップ(30cm幅)……ラビットケージの周囲に巻いて風&寒さ避けにします。
    ◎ケージ・バリケンに敷く小型の毛布やフリースなど暖かい素材……ケージもバリケンも床はプラスチックなので冷たいです。ねこベッドのように立ち上がりの壁があるものならベター。
    ◎貼るタイプの使い捨てカイロ……ミニサイズが使い勝手良いです。