公益社団法人日本愛玩動物協会 長崎県支部の設立

現在、日本の動物愛護関連4団体というと、

  1. 日本獣医師会(1885年設立)
  2. 日本動物愛護協会(JSPCA,1948年設立)
  3. 日本動物福祉協会(JAWS,1956年設立)
  4. 日本愛玩動物協会(JPCA,1979年設立)

になります(以前は、「日本動物保護管理協会」(1982年設立)が入っていましたが、2010年4月に日本獣医師会に吸収されました)。全国組織である4団体は、さきの東日本大震災で「どうぶつ救援本部(緊急災害時動物救援本部)」を共同で設置したほか、それぞれの団体ごとにさまざまな動物愛護にかかわる活動を行なっています。

さて、そのなかの日本愛玩動物協会は、愛玩動物飼養管理士の資格認定を行なうとともに、各都道府県在住の管理士を中心とした都道府県支部組織を持っています。これまでに全国47都道府県のうち36都道府県に支部がありましたが、長崎県にはまだ支部が設置されていませんでした。

県内の管理士の方々は、4~5年前から協会本部に対して支部設立へ向けた働きかけを行なってきましたが、ようやく今年度に入って支部設立が本決まりになり、7月28日に支部設立説明会が長崎市立図書館新興善メモリアルホールで開催されました。出席者は、協会本部から東海林会長と支部課長のSさん、長崎県在住管理士の方が13名、長崎県庁生活衛生課のTさんの16名でした。

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東海林会長あいさつ

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東海林会長を講師とする勉強会「ペット・ツーリズムの今後のあり方を考える」

 

9月22日に開催される予定の第38回長崎市動物愛護フェスタに「日本愛玩動物協会長崎県支部」として参加し、来場者向けに啓発活動を行なうことが最初の支部活動になります。そして、長崎県在住の管理士・一般会員の方々に、ひとりでも多く支部登録をしていただくことが、今年度のいちばん大きな活動目標になります。

支部登録手続きについてはこちらに説明がされていますが、入会申込みを済ませて、入会金3,000円(学生会員は免除)+年会費4,000円を納めていれば(=一般会員になっていれば)、管理士の資格を持っていてもいなくても、支部登録が可能です(現実問題として、管理士資格を持たないのに入会するひとは稀でしょうが)。逆に、管理士資格を取得していても、入会手続きを済ませていなかったり、年会費を支払っていなければ、それらを済ませるまでは支部登録はできません。支部登録用紙(PDF)のダウンロードはこちらから。

支部登録をするメリットですが、まず第一に、自分がひとりではなかなかできない動物愛護活動を、支部の仲間と一緒にすることができるということが挙げられるでしょう。「動物(なかでも家庭動物)の適正飼養・管理の普及啓発」という協会の活動目的に合致している必要はありますが、「適正飼養」よりも「適当飼養」の方がともすれば幅をきかせている長崎県において、一緒になって「ひとと動物のよい関係」を広めていける仲間ができることが、支部に参加する最大のメリットということになると思います。

それに年間4,000円を割けるかどうかが判断のわかれめですし、それだけの価値がある活動を支部として行なっていかなくてはならないな、と考えています。いちばん気になっているのは、県内の地域性の問題で、長崎市周辺に活動が偏ったりしないように、支部員相互のコミュニケーションを十分に図りつつ、生まれたばかりの長崎県支部を育てていきたいですね。

動物愛護法2012年改正関連パブコメ最終回(2)

つい先日(1)を書いたと思ったら、もう締切間際です。さるねこ父の知識と能力の限界から、今回はALIVEさんのパブコメ案を下敷きにしつつ、資料1「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」資料2「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」についてのみ、環境省に意見を送ろうと思います。とりあえず資料1「基本的な指針」から。


第1 動物の愛護及び管理の基本的な考え方:(動物の愛護)

【該当箇所1】人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的な知見や生きとし生けるものを大切にする心を踏まえ、動物の命に対して感謝及び畏敬の念を抱くとともに、この気持ちを命あるものである動物の取扱いに反映させることが欠かせないものである。

【意見内容】上記後半部について「人と動物とは生命的に連続した存在であるとする科学的な知見や生きとし生けるものを大切にする観点から、動物の命に対して真摯に向き合い、その尊厳を冒さないことが求められる。」と修正する。

【理由】動物の愛護について検討する上で、その命の尊厳の重要性を述べるにあたっては、単に感謝や畏敬の念のみならず、より根本的に「命に対して真摯に向き合い、その尊厳を冒さない」という心構えが求められると考える。

【該当箇所2】人は、他の生物を利用し、その命を犠牲にしなければ生きていけない存在である。このため、動物の利用又は殺処分を疎んずるのではなく、自然の摂理や社会の条理として直視し、厳粛に受け止めることが現実には必要である。しかし、人を動物に対する圧倒的な優位者としてとらえて、動物の命を軽視したり、動物をみだりに利用したりすることは誤りである。

【意見内容】上記前半部について「人がその諸活動において、他の生物を利用し、またその命を犠牲にしている現状に対しては、その事実を厳粛に受け止め、できる限り動物の苦痛の軽減および犠牲の減少を考えていかなければならない。したがって、人を動物に対する圧倒的な優位者としてとらえて、動物の命を軽視したり、動物をみだりに利用したりすることは誤りである。」と修正する。

【理由】旧指針が策定された2006年10月以降、鳥インフルエンザや口蹄疫流行に伴う殺処分、東日本大震災後の被爆家畜殺処分など、「自然の摂理や社会の条理として受け止めるべき」と片づけるには苛酷すぎる事例が頻発している。単に「受け止める」だけではなく、「苦痛の軽減と犠牲の減少」を追求するべきであると考える。

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(1)普及啓発

【該当箇所1】「①現状と課題」中、「動物の愛護及び管理を推進するためには、広く国民が、終生飼養の責務や動物の虐待の防止と動物の適正な取扱いに関して正しい知識及び理解を持つことが重要である。」

【意見内容】上記について「動物の愛護及び管理を推進するためには、広く国民が、終生飼養の責務や動物の虐待及び遺棄の防止と動物の適正な取扱いに関して正しい知識及び理解を持つことが重要である。」と、「遺棄」に言及する。

【理由】法第1条の改正により、法の目的の1番目に「動物の虐待及び遺棄の防止」と「遺棄」について言及されたため、この箇所についても同様に修正するべきである。

【該当箇所2】「②講ずべき施策」イのうち、「動物との触れ合い事業の推進に当たっては、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要であり、国によるガイドライン作成などそのあり方について検討すること。」

【意見内容】上記冒頭について、「動物に触れる体験事業を行なうに当たっては、適正な飼養管理や動物のストレスを減らす配慮が必要であり、国によるガイドライン作成などそのあり方について検討すること。」と、「推進」の表現を削除する。

【理由】動物に触れる体験を持つことが子どもたちに豊かな情操を育む可能性については否定しないものの、そうした体験を事業として「推進」するという表現は、こうした「触れ合い」が往々にして一方的な人間側の自己満足に終わり、触れ合わせられる動物にとってはストレスにしかならない点、しかもそのことがほとんど認識されていないという現状を鑑みると、不適切である。

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(2)適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保

【該当箇所1】「①現状と課題」中、「こうした問題を踏まえ、平成24年の動物愛護管理法改正により、所有者等の責務として終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務が明文化された。」

【意見内容】上記末尾について「こうした問題を踏まえ、平成24年の動物愛護管理法改正により、所有者等の責務として終生飼養や適正な繁殖に係る努力義務が明文化され、また、虐待や遺棄への罰則が強化された。」と、罰則規定に言及する。

【理由】これに先立って遺棄・虐待に言及していることから、当然に、遺棄・虐待に関する罰則規定の強化についても触れるべきであると考える。

【該当箇所2】「①現状と課題」中、「殺処分率は約94%(平成16年度)から約79%(平成23年度)への減少となっており、殺処分率の減少に向けた更なる取組が必要である。」

【意見内容】上記について「この期間に犬の殺処分数が57%減少したのに対し猫の殺処分数は40%の減少にとどまっている。また殺処分率は約94%(平成16年度)から約79%(平成23年度)への減少となっており、犬猫それぞれの殺処分数の減少及び殺処分率の減少に向け更なる取組が必要である。」と修正する。

【理由】殺処分数が当初目標を上回るペースで減少していること自体は喜ばしいことである。しかしながら、全体の殺処分数だけで施策を決定できるわけではなく、むしろ今後は犬と猫とでそれぞれに異なる施策の必要性が認められる。なぜならば、登録制度のある犬とそうではない猫とを比べると、当然ながら収容から殺処分に至る経緯は異なっており、その結果としての殺処分数の推移も異なってくる。殺処分数減少のためのより有効な施策をとる上では、犬・猫を分けて分析・考察することが望ましいと考える。

【該当箇所3】「②講ずべき施策」アのうち、「みだりな繁殖を防止するための不妊去勢措置の推進、安易な飼養の抑制等による終生飼養の徹底、動物取扱業者からの販売時における説明・指導等が適切に行われるようにすること等により、」

【意見内容】上記冒頭について「みだりな繁殖を防止するための不妊去勢措置や地域猫活動等による飼い主のいない個体の適正管理の推進、安易な飼養の抑制等による終生飼養の徹底、動物取扱業者からの販売時における説明・指導等が適切に行われるようにすること等により、」と、地域猫活動に言及する。

【理由】殺処分のうち飼い主の特定できない幼齢個体の占める割合は大きい。これに対応するためには、地域猫活動等によって飼い主の特定できない成熟個体の適正管理を進めることが有効であると考える。

第2 今後の施策展開の方向:2 施策別の取組:(3)動物による危害や迷惑問題の防止

【該当箇所】「②講ずべき施策」アのうち、「地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、」

【意見内容】上記冒頭について「その目的や方法・プロセスの普及啓発、地域の実情を踏まえた計画づくり等への支援を含め、飼い主のいない猫を生み出さないための取組を推進し、」と、普及啓発を第一に掲げる。

【理由】地域猫の活動については、その用語自体は徐々に浸透しつつあるように感じられるが、それが「ねこをかわいがるためではなく、地域の環境をよりよくするため」のものであり、「飼い主のいないねこを中長期的にゼロに近づけていくために」「地域住民の合意形成を伴って」なされるべきものであるという点は、極めて限定的な範囲にしか浸透していないと実感する。こうした地域猫活動の目的・方法・プロセスをより広く浸透させることこそ、地域猫活動を広汎に展開していく上で国及び地方公共団体に課せられるべき役割であると考える。


資料1「基本的な指針」については以上です。