譲渡会報告(2/24出島交流会館):波ちゃん、トライアルへ

出島交流会館駐車場で開催された譲渡会で、波ちゃんのトライアルが決まりました。

K-r36602
希望者さまのお子さんたちに抱っこ&ナデナデしてもらう波ちゃん

希望者さまのご家族は、先月の譲渡会からずっと足を運んで下さり、考えに考えた末にトライアルのお申し出をいただきました。海くん・波ちゃんの仲よし姉弟が離ればなれになってしまいますが、きっとそれぞれに幸せなおうちへの糸がつながっていると信じています。

 

K-r36620

K-r36621
海くんからは祝福のペロペロ

 

K-r36642
波ちゃんは鼻キスでお返し

 

K-r36559

K-r36670
海くんと波ちゃん、もうしばらくは一緒です。3月3日の雛祭りの日が波ちゃんのトライアルお届けになります。

 

K-r36363
海くんは、もう少しがんばっておうちを見つけようね。3月3日長崎市公会堂前でのR&Gさんの譲渡会に、海くん(少し遅れて)参加予定です。

ねこと野鳥(2)

前回のつづきです。記事の方もつづきを出しておきます。

米で野良猫「駆除論」:野鳥被害、年24億羽 愛猫団体は反発

 米国で猫に殺される野鳥が年間24億羽に上り、深刻な脅威になっているとの論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された。野鳥保護団体が「すぐにでも対策が必要だ」と訴えるのに対し、愛猫団体は「猫を殺しても野鳥は救えない」と反発する。

 米スミソニアン保全生物学研究所の鳥類研究者らが過去の数十の調査結果から推計したところ、アラスカとハワイを除く米国では、猫に殺される野鳥は年間24億羽、ネズミやウサギ、リスなどの小動物は123億匹に上るという。

 飼い猫は約8400万匹、野良猫は3千万~8千万匹いると推測され、ほとんどは野良猫の仕業だが、野鳥の被害の3割近くが屋外にも行くことができる飼い猫によるという。研究者らは「ビルや自動車との衝突など人為的要因を調べた過去の研究に比べても、最も深刻な脅威だ」としている。米鳥類保護協会では以前から「飼い猫は室内で飼うべきだ」と訴え、同協会は「深刻な影響が出る前にこの問題を真剣に受け止めるべきだ」とコメントした。

 一方、野良猫の保護や避妊活動を展開する団体「アリー・キャット・アライズ」は「鳥や野生動物にとっての本当の脅威は環境汚染や生息域の破壊で、ネコを殺しても救えない」と反発している。 (ワシントン=行方史郎)

〔『朝日新聞』2013年2月19日夕刊2面〕

前回この元論文は「なんらかの意図をもって、『結果ありき』でつくられたもの」と指摘しましたが、そのあたりの裏がよくわかるのが、記事本文で挙げられている「愛猫団体」の「アリー・キャット・アライズ」の動きです。

アリー・キャット・アライズ(ACA, Alley Cat Allies)については「全米ノラねこデー(National Feral Cat Day)」で以前一度紹介していますが、地域ぐるみでのTNRを推進する団体です。ACAは、1月29日に件の論文がNature Communicationsに掲載された翌日の1月30日に、即座にこれを批判的に紹介し、非難する声明文を出しています(PRESS RELEASE: Alley Cat Allies Responds to Study's Claims on Cats and Birds)。元論文の問題点が、ねこの側から見て、よくわかります。またざっと全文訳してみます。

われわれACA(ノラねこ同盟)はネイチャー誌掲載のねこによる野鳥被害を訴える論文に反論する

当該論文は、ずっと以前に発表された・信頼に足りない研究に基づいた、極めて煽情的でゆがめられた「科学的」研究でしかない

 われわれACAは、国内で唯一のノラねこの保護と人道的扱いを促進する保護団体です。われわれは、このたびネイチャー誌に掲載されたねこと野生動物に関する偏見に満ちた研究に対して反論します。この論文は、外ねこ(outdoor cats)による捕殺数を水増ししようとする野鳥保護団体によるいわば「暗黙の(=あからさまにしない)キャンペーン」と呼ぶべきものです。

 ACAの共同設立者で理事長のベッキー・ロビンソン(Becky Robinson)は、「この研究は以前から継続的に行われている『ねこに対する中傷』キャンペーンの一環だ」と述べています。「論文の著者たちは、『まず結論ありき』で研究に取り組み、その結論に都合のよい研究だけを『つまみ食い』しただけのように思える。彼らが引用している研究の一部は半世紀以上前のものだ。あまつさえ彼らは、ねこを毒殺しようとした容疑によってコロンビア州特別区陪審によって有罪宣告を受け、その結果スミソニアン博物館から免職処分を受けたニコ・ドーフィン(Nico Dauphine)の研究すら引用しているのである。彼女(ニコ・ドーフィン)は、この論文の共同執筆者であるピーター・マーラ(Peter Marra)のためにねこを毒殺しようとして有罪となった」。

 「彼らのいう『研究調査』は、野生生物の減少に対して世間の注意を向けさせようとするありきたりの世論操作でしかない。『研究調査』とは名ばかりで、架空の議論を捏造しているに過ぎない。この論文は、自らに都合よく、野生生物の減少をもたらした真犯人から目をそらしている。言うまでもなくそれは、野生生物の生息環境の破壊を含む人間活動そのものである。」

 「さらに論文の著者たちは、彼らの提示する『解決策』が、実際には20世紀から続く『ねこの大量殺処分』という役立たずの環境政策の継続を支持するものである点について、口をつぐんでいる。1000万匹という数の健康なねこが収容施設やシェルターにおいてこれまでに殺されてきたが、多額の税金がそこにつぎ込まれたにも関わらず、このことはなにひとつ問題を解決していない。『さらなる殺処分』という政策をとることが正しい答えであるはずがない」、とベッキー・ロビンソンは述べています。

 彼女(ベッキー・ロビンソン)は、TNRについて、それはねこの世代再生産(子ねこ、孫ねこが生まれてくること)を断ち切り、ノラねこの個体数を安定させることに寄与すると述べ、だからこそ毎年より多くの自治体がTNRという革新的・共感的・常識的なアプローチへと転換し続けているのだとまとめている。

 「個体数を安定させたのちに減少させていくTNRの成功により、かつてはノラねこの大きな群れがあちこちにあった地域では、それらの群れが次第に消滅していっている。「捕獲・殺処分(catch and kill)」から「不妊化・リリース(neuter and return)」へと自治体が政策転換するだけの十分な理由がある。」

 「本当の意味で野鳥や野生生物に対して脅威となるのは環境汚染と生息環境の分断・破壊であり、その解決のための「簡単な」方策などない」と彼女は言う。「われわれは、煽情的な見出しと悪質な科学にだまされてはいけない。ねこの殺処分は決して野鳥や哺乳類の保護にはつながらない」。

 

……「ねこ殺しの容疑でスミソニアンをクビになった研究者の論文を引用している」というのも、たいがいセンセーショナルですが、もちろんさるねこ父はそのあたりの真偽に立ち入るつもりはありません。本当の意味で問題なのは、ベッキー・ロビンソンさんが後半で述べている部分です。

この論文の締めくくりは、前回の記事でも述べましたが、「科学的に信頼できる保護策と政策的な介入が必要だ」というものでした。そこではなにも「はっきり」とは述べられていません。そこが狡い。「じゃあ、どうしたらいいの?」という点について「ねこを殺しましょう」とは、論文の中ではひとことも述べられてはいないのです。

その一方で、論文の中では「ねこによる野鳥・野生哺乳類の捕殺数」について延々と記述が続きます。そして、「ねこがこんなに殺しちゃうんですよ、野鳥やリスがいなくなっちゃいますね、だからなんらかの保護政策が必要です」とだけ述べている。

ACAはそれに対し、「ねこの殺処分で問題は解決しない」と返していますが、元論文の執筆者からすれば「それはオーバーリアクションです、われわれはなにもそんなことは言っていない」という反論が可能です。実に狡猾です。

 

ACAはその後も「ジャンク・サイエンス(でたらめ科学)」に反対しようというネット署名活動を立ち上げたり(2月2日)、care2という国際署名サイト上で主張を展開したり(2月7日)しています。この先どういう展開になるのか、ぼちぼちウォッチしていこうと思います。

ねこと野鳥(1)

朝日新聞デジタルから引用です。

猫を殺せば野鳥救える? 野鳥保護団体「深刻な脅威」

 【行方史郎=ワシントン】米国で猫に殺される野鳥が年間24億羽に上り、深刻な脅威になっているとの論文が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された。野鳥保護団体が「すぐにでも対策が必要だ」と訴えるのに対し、愛猫団体は「猫を殺しても野鳥は救えない」と反発する。

 米スミソニアン保全生物学研究所の鳥類研究者らが過去の数十の調査結果から推計したところ、アラスカとハワイを除く米国では、猫に殺される野鳥は年間24億羽、ネズミやウサギ、リスなどの小動物は123億匹に上るという。

(2013年2月19日 21時34分)

この記事にはいちおう続きがありますが、有料会員でないと読めないことになっているので、紙媒体に掲載されたらまた出典明記で補うこととして。

正直「なんだこりゃ?」というニュースではあります。見出しも中身もぶっ飛んでる気がしたので、オリジナルにあたってみました。

記事で「英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に発表された」というのは、この記事のことです。

The impact of free-ranging domestic cats on wildlife of the United States (Scott R. Loss, Tom Will & Peter P. Marra)-「アメリカ国内における野生生物に与える放し飼いねこの影響」

2012年9月6日投稿・2012年12月12日受理・2013年1月29日公開となっています。上のリンクをクリックするとabstract(要約)が英文で読めます。本文を読むには、3.99ドルで48時間の購読権を買う(Rent)か8.99ドルで時間無制限の購読権を買う(Buy)必要があります。さるねこ父は買って読み始めたところですが……「こりゃ、ひどいな」というのが第一印象です。

買ってまで読む物好きはそういないと思いますし、英文要約もわざわざ読むのはめんどうだろうと思いますので、さるねこ父の方で要約を適当に訳しておきます。

建物や自動車などの人工物に当たったり、有害汚染物質の影響を受けたり、飼養動物によって捕食されたりといった、人間活動に由来する脅威によって、毎年何十億という野生生物の命が奪われている。

放し飼いのねこ(free-ranging domestic cats)は全世界に広まり、いくつかの島々における野生生物の絶滅をもたらしてきた。(島ではなく)本土における野生生物の死亡数に対して、こうした放し飼いのねこがどの程度の影響を与えているかについてはまだ明らかにされておらず、系統的解析や科学的データの検討を伴わない大ざっぱな見積もりしか出されていない。

われわれは、アメリカ国内における猫による野生生物の捕殺数について、システマティックにデータを解析・検討してその数量を見積もった。その結果、放し飼いのねこによって毎年14~37億羽の鳥類と69~207億匹の哺乳類が捕殺されていると結論づけた。この捕殺数は主にノラねこ(un-owned cats)によるものである(飼いねこ(owned cats)と対比した場合)。

この研究によって明らかになったのは、これまで考えられていたよりかなり多くの野生生物が放し飼いのねこによって捕殺されていること、そしてこのねこによる捕食こそが、アメリカ国内の鳥類・哺乳類の死因のうち、人間由来のものとされるほとんど唯一最大の原因であろうということである。

科学的に信頼できる保護策と政策的な介入が、この影響を軽減するためにとられる必要がある。

「鳥が死んじゃうのも哺乳類が死んじゃうのも、なにもかもねこのせいだ、ねこが悪いんだ、ねこめー、ねこめー!」って感じの要約ですが、特にさるねこ父がはしょったり誇張したりしているわけではありません。ほんとにこう書いてある。

ねこによる捕殺数を何十億匹・羽と見積もり、「ねここそがほとんど唯一最大の原因であろう」と結論づけているわりには、その他の人為的な要因(「窓や建物、鉄塔、自動車への衝突や農薬による影響」と書かれています)で何匹・羽死んでいるのかについての検討・記述はありません。なんでそういうことになるか、というと、実はこの論文が「実際に鳥が捕殺されたり窓にぶつかったりしているのを観察してカウントした結果」書かれたものではなく、「これまでに発表された推定データをたくさん集めて、それを統計分析して」書かれたものだからです。でもって、「ねこに殺された鳥や小動物の数」を見積もった研究はそこそこあったけれど、「鉄塔にぶつかった鳥の数」を見積もった研究はほとんどない、ので、「その他の人為的要因」についてはそれ以上の言及がないわけですね。

 

確かに、窓にぶつかる鳥が年間何十億もいるとはとうてい思えませんけれども、なんでしょうね、この違和感……(-_-)。

たとえて言うなら、「長崎新幹線が開通して、どのくらいの経済効果があるか、20本のリサーチ結果がこれまで出ているので、それらを合算して再度データ解析してみました、○○億円です!、すげえ!! 早く作るように『セイサクテキナカイニュウ』を働きかけなくっちゃ!」って言ってるようなものなんですよね。まともな経済学の論文としては、とうてい取り合ってもらえないレベルです。「は? ひとのふんどしで相撲とってないで、自分でデータ取ってこい!」って先生に怒られるレベルです。

そして「長崎本線(かもめ)をそのまま残した場合の経済効果がいくらになるかのリサーチ結果は、これまであんまり出ていないので、分析できませんでしたが、無視していいと思います」って書いちゃってる感じです。「いや、そこは『オモイマス』じゃないだろ」って突っ込みたい。

……このたとえを使うと、話があらぬ方向に広がりそうなのでこのくらいにしておきますが、少なくともさるねこ父はこの論文の内容妥当性には問題があると考えます。むしろ「なんらかの意図を持って、『結果ありき』でつくられたもの」だろうと思います。もちろん、ねこによる野生生物の補食が社会的に無視し続けてよい問題であるとは思えませんし、完全室内飼いへの移行推奨など、取り得るオプションもいくつか考えられると思いますが、この論文の意図はそれよりもっと煽情的で狡猾なのではないか、というのが率直な印象です。

 

つづく。

長崎・佐世保・諫早・大村の譲渡会等情報-068

【譲渡会に参加して里親さま探しをしたいと考えていらっしゃる方へ】
譲渡会の飛び入り参加はできませんので、必ず遅くとも前日までに主催者の方に連絡してください。また「譲渡会持ち物リスト」をおまけに付けています。参加されるときの参考にされてください。よりくわしくはこちらの記事を

また、これらの情報をどういう基準で掲載しているのかについてお問い合わせをいただくことがあります。この点についてはこちらの記事をご覧下さい

検索でこのページにたどり着いた方へ:このページの情報が古いものである場合は、こちらから最新情報へお回りください


下記の主催者さんについては情報が入り次第追記いたします。
長崎県央保健所サポーターズさん 諫早眼鏡橋前犬猫譲渡会(おそらく3月3日開催です)
Animal Rescue 佐世保さん……次回は3月の予定です
長崎わんにゃん会さん
長崎はっぴーあにまるさん
 
関連リンク:
長崎市動物管理センター[収容犬情報]
長崎県動物愛護情報ネットワーク[譲渡犬情報][譲渡猫情報]
長崎県地域猫活動連絡協議会


譲渡会で一般的に必要なもの
(◎=必須、☆=できるだけあるとよい、△=あれば便利、▼=必要に応じて)
☆展示用ラビットケージ(例1=600サイズぐらいが適当、例2
◎首輪、リード類(万一の脱走防止のために必須です) 
◎ペットシーツ(あればワイドサイズの方が便利)
◎水&水飲み皿 
☆ごはん&ごはん皿
▼ごほうび的なフード(使いかけをキープするならラップやタッパなども)
☆適当な大きさの箱(100均など)+トイレ砂(譲渡会ではトイレを使わない子の方が多いですが、念のため)
◎ねこじゃらしなど、普段から使っているおもちゃ(ふだんは腕白・おてんばでも、譲渡会では思いのほか固まります。おもちゃで気を引けるように)
◎ビニール袋&レジ袋
◎古新聞紙
△セロテープ&はさみ
△ガムテープ
◎タオル(何枚か)
△バスタオル
☆トイレットペーパー、キッチンペーパー
☆ウェットティッシュ 
☆消毒殺菌剤(バイオウィルクリア白十字清浄綿消毒用エタノールエタノールジェルなど)
△ねこ用爪切り 
◎連絡先として希望者さまに渡せるカード(名刺や、子ねこの写真をプリントしたものの裏に電話番号を書いたものなど)
☆ふだんのようすを写した写真・かわいい写真(譲渡会では普段と違ったふるまいをしますので、少しでも素の状態を知ってもらうために) 
▼子ねこの特徴などを書いたチラシなど
▼譲渡にあたってのお願いをまとめた資料など
▼カメラ(バッテリの充電も忘れずに)
☆筆記用具
▼人間のごはんやおやつ、ドリンク類(けっこう長丁場です、栄養補給を)
冬場に特に必要なもの
☆サランラップ(30cm幅)……ラビットケージの周囲に巻いて風&寒さ避けにします。
◎ケージ・バリケンに敷く小型の毛布やフリースなど暖かい素材……ケージもバリケンも床はプラスチックなので冷たいです。ねこベッドのように立ち上がりの壁があるものならベター。
◎貼るタイプの使い捨てカイロ……ミニサイズが使い勝手良いです。