環境省統計(2010年度・全収容・都道府県別/県市別)

10月3日の記事の「犬猫の引取り」と昨日10月8日の記事の「負傷動物の収容」とを継ぎ合わせると、それぞれの県市別の犬猫についての全収容数・全返還数・全譲渡数・全殺処分数が出ます。それが、こちら。

全国を合わせると、犬の収容は87,119頭に対して猫の収容は174,338頭。猫は犬のほぼ2倍です。合計すると261,457頭。

ここから出て行く分について考えると、まず返還については、犬16,540頭に対して猫333頭と、圧倒的な差がつきます。そもそも猫については「迷子猫の捕獲」ということがあり得ないので「返還」される猫は極めてレアなケースになります。譲渡については、犬17,509頭に対して猫12,514頭と、こちらは犬の3分の2ほどまで追いつきます。

トータルで、出られた犬は34,049頭、率にして39.1%になります。一方猫はというと、12,847頭・7.4%。5頭に2頭出られる犬に対して、13頭に1頭しか出られないのが猫です。


そんな中で異彩を放つのは、熊本市動物愛護センターに収容された猫です。全収容数310頭に対して、出られたのは231頭・74.5%。もちろんその陰には、センターの職員さんとボランティアさんの血のにじむような努力があり、さらにそれを支える全国からの支援があります。

よく「熊本市にできるんだから、がんばればどこでもできるはずだ」という意見を耳にしますが、さるねこ父はそれには違和感を感じます。そんなに単純な話ではない。どれだけの人々が、時間と労力とお金をかけて、その状態に持っていくために奮闘しているのか。決して熊本市だけで閉じているわけではないそのシステムを、そのまま全国に波及させることはできないはずです。

ある村が、非常に独創的な村おこしをして、全国から観光客を集めているとします。小さな村の成功事例を見て、「がんばれば、どこの村でもそれができるはずだ」と考えるとしたら、それはあまりにおめでたい。全国の中で選りすぐりだからこそ全国からお客が集まるわけで、同じものが全国各地にできたら、観光客の取り合いになって共倒れです。

犬猫についても同じことです。「がんばれば、できるはず」だけでは、いずれ立ちゆかなくなります。「がんばる」ことはもちろん必要だけれども、がむしゃらにやっていればどうにかなるような、そんなオプティミスティックな現状じゃない、とさるねこ父は思います。(どうにもならない、とは思っていませんけどね。)

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